子供の頃、
表情がハッキリしないキャラクターが好きになれなかった。
笑っているなら口角を上げた口、目じりを下げた目をかいてほしい。
怒っているならその逆を。
口とか省略してある絵はすごく苦手。
だから、ミッフィーちゃんは好きじゃなかった。
いつも同じ顏……。
そんなミッフィーちゃんの表情を一度だけ見た。
両目から溢れだした大粒の涙のイラスト。
東日本大震災被災者のために描かれた絵。
ポーカーフェイスのミッフィーちゃんが!!!
その絵を見たとき、ぶわっと涙が出てきた。
嫌いなミッフィーちゃんで涙する自分に驚きつつ、
このイラストから、それほどにも強いメッセージ、ブルーナさんの深い悲しみが伝わってきたのだと気付いた。
それ以来、ミッフィーちゃんのことをすごいなと思うようになった。
点と線で表情を想像させる。なんて洗練されているんだろうって。
イラストだけでなく、物語の「ご想像にお任せ」の部分にも魅かれたりするようになった。
浅かった自分の心が少し深くなれた瞬間、そのきっかけを作ってくれたのはミッフィーちゃんだったのかなと、
今日の新聞”南風録”を読みながら思い出しました。